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岸辺露伴は動かない 『懺悔室』 ネタバレ解説|罪と呪いとポップコーンな裁き 2025.5.24

『岸辺露伴は動かない』は、漫画『ジョジョの奇妙な冒険』第4部の人気キャラ・岸辺露伴を主人公としたスピンオフ短編集。

彼が取材の途中で遭遇する奇怪な事件を描いており、スタンドバトルとは一味違うホラーとサスペンスの融合が魅力です。

そんな『岸辺露伴は動かない』の第1話である「懺悔室(ざんげしつ)」は、このシリーズを代表するに相応しい物語となっており、2025年5月24日(土)には、高橋一生さん演じる実写版「岸部露伴は動かない」で映画化されました。

今回は、映画の原作である「懺悔室」についてネタバレを含むあらすじを分かりやすく解説しましたので、是非ご覧ください。

目次

第1話「懺悔室」 あらすじ【ネタバレあり】

舞台はイタリア・ヴェネツィア

岸辺露伴は取材で訪れたイタリア・ヴェネツィアで、とある教会に入り、偶然「懺悔室(ざんげしつ)」に座ります。

すると、彼を神父と勘違いした男が入室し、恐ろしい過去の告白を始めるのです。

ある男の過去 ー“絶望”と出会った日

▼その男が24歳の頃、トウモロコシの輸送業者で働いていたときのこと。

▼ある日、東洋人風の浮浪者が空腹を訴えてきました。

▼彼は苛立ちを感じ、浮浪者に重いトウモロコシ袋を無理やり押し付け、
 倒れ込んだ男に追い打ちをかけます。

▼その時、浮浪者は彼の足元にしがみつき、こう叫びます。
オレは今ッ!! 暗い海よりも深い“絶望”の中にいる!てめーの顔は決して忘れねえッ!!
 この報いは、おまえが“幸せの絶頂”の時に必ず迎えにいって償わせてやるッ!!

その後、浮浪者はトウモロコシ袋の下敷きとなり死亡。男は事故として処理され、なんの罪にも問われませんでした…。

その後、人生が好転するも…

それからというもの、男の人生は驚くほど上昇。

サッカーや宝くじに次々と当たり、資産は増え続け、
スーパーモデルと結婚し子供も生まれ、誰もが羨む大富豪に。

そしてある日。

公園で娘と遊んでいる最中、「なんて自分は幸せなんだ」と感じたその瞬間、
娘が彼の喉を締めながらこう叫びます。

▼「約束どおり戻ってきたぜーっ!おめえを迎えになーッ!!

▼娘の舌には、あの時の浮浪者の顔が浮かび上がっていました。

運命の裁きー“ポップコーンゲーム”開始

▼浮浪者の怨霊が乗り移った娘は、「運命に裁かせてやる」と言い、あるゲームを提案します。


ポップコーンを3回連続で空中に投げて、口でキャッチできたら助けてやる。失敗したら命をもらう。

【1回目】太陽光で目がくらむも成功。
【2回目】鳩に狙われるも、ポップコーンをばらまき成功。
【3回目】鳩を避けるため火をつけたが、太陽光で見失い失敗

ゲームに負けた男は、浮浪者の怨霊が取り付いた娘の手によって首をはねられて殺されてしまいます。

実は……生きていた!衝撃のラスト

浮浪者の怨霊に首をはねられ殺されたはずの男が、なぜ今懺悔室で岸部露伴と話をしているのか…

ここが最大の恐怖で、そして衝撃のラストを迎えます。

ここからネタバレです。

実は、男は浮浪者の怨霊によるこの呪いを予見し、召使いに整形手術を施し、自分の身代わりにしていたのです。

つまり、首がはねられた男は「召使い」で、浮浪者の怨霊はその偽物を殺し、本当の彼は今も生き延びていたのです。

しかし!!

そう語る彼の背後には、首を失った召使いのがつきまとい、さらに恐怖を掻き立てるラストとなっています。

そして最後に、この恐怖の体験について、岸部露伴はこう語っています。

怨霊に憑かれても
孤独に前向きに生きる男。
悪人だが、私は尊敬する。

なぜ「懺悔室」は語り継がれるのか?

「懺悔室」が多くの読者に強く印象を残し、語り継がれるのはなぜか?

その理由は、物語構造の完成度と心理的恐怖の深さにあると考えます。

まず、舞台が「懺悔室」という神聖で静謐な場所であることが、物語に強烈な緊張感をもたらします。

そして、人間の“罪”を告白する場所において、「呪い」や「報い」といったオカルト的な要素が重なることで、読者は一気に現実と非現実の狭間に引き込まれます。

さらに、語り手の男が“罪を償う”のではなく、“逃げるために他人を犠牲にする”という選択をしている点も重要です。

単純な勧善懲悪ではなく、悪人であっても最後まで生に執着し、計算高く生き延びようとするリアルな人間像が描かれており、その“醜さ”が逆に読者の心に残ります。

そして極めつけは、「ポップコーンを使ったゲーム」という一見滑稽な要素が、命をかけた審判となる“ジョジョらしい奇妙なルール”として展開されることです。

笑えるようで笑えない、シュールで恐ろしい展開が強烈な印象を残します。

読後には、「罪とは何か?」「報いとはどうやって訪れるのか?」という道徳的で普遍的な問いが静かに読者の中に残るため、この「懺悔室」の物語が単なるホラーを超えて“語りたくなる物語”として記憶に刻まれるのではないでしょうか。

まとめ

岸辺露伴が取材で訪れたイタリア・ヴェネツィアの教会で、偶然足を踏み入れた懺悔室。

そこに現れた一人の男が語り始めたのは、かつて自身が犯した罪と、それによって招かれた恐ろしい呪いの物語でした。

ジョジョランズ

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